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学校の近況
H20年度・富浦臨海(第四期)

第4期 富浦臨海
59回生 助川 学さん

私は今期、泳力が最も優れている1班を担当しました。私自身子供の頃は1班、OBになってからは毎回5・6班で参加しておりました。富浦は4日間という短い間に、5・6班の子供たちの泳力を劇的に向上させ、様々な感動を生み出してくれます。今年初めて1班を担当するにあたって、「一体、富浦は1班の子供たちに何を教えてくれるのだろうか。」そんな思いで臨海に参加しました。

今年の6年男子は、昨年度「自然の怖さ」を痛いほどに思い知らされている学年でした。台風の接近や高波などで入水することが出来たのは数回。泳ぎこみ不足という先生方の判断で、彼らが手にしたのは「白紙の完泳証」。今年の交換会やしおりで出る言葉は「リベンジ!!」「絶対に遠泳が泳ぎたい!!」という、2年分の強い思いでした。

初日の浜では、幾度と無く点呼のやり直しが行われました。動いてしまう体、揃わない声、そして何よりも、一つにならない気持ち。昨年度富浦で学んだはずのことを忘れていました。しかし、富浦の海はそんな彼らを迎え入れるかのごとく、初めて優しい顔を見せてくれました。波、うねり、風、水温全てが彼らの味方でした。

2日目は最も泳力を伸ばす1日。徹底的な泳ぎ込みで、大遠泳へのきっかけを掴む1日です。しかし、富浦の自然がまたもや彼らに自然の厳しさを教えました。午後、雨は降っていないものの遠くから聞こえる雷鳴。泳げるのか、泳げないのか。子供たちは“ふんどし”姿のまま、寮でその判断を待ちました。練習は中止。雨も風も無い。でも泳げない。昨年度の悪夢が子供たちの中を駆け巡りました。

3日目。本来であれば遠泳のために一日が流れる日。しかし、「泳力を伸ばす1日」と位置付けられました。2日目の中止により、泳力や海への慣れ、何よりも経験が足りないとの判断で、遠泳への挑戦は4日目へと延期されたのです。絶好のコンディションの中、彼らの中には海で泳げることが当たり前のことでは無く、ありがたいことなんだという「感謝」の気持ちが芽生えていました。徹底的に、時間の許す限り泳ぎこみを行い、多くの子供たちが大遠泳への挑戦権を獲得することが出来ました。

最終日。彼らにとってはまとめの1日であり、挑戦する1日でもありました。初めての遠泳への挑戦。一体どんなものなのだろうかという不安。そんな中でのスタートでした。しかし、最後に見せた富浦の自然は皮肉にも厳しいものでした。強い波、うねり、クラゲが大量にいる中を隊列が進みました。それは私の経験の中でも最も辛いものでした。しかし、12歳の子供たちは持てる力を限界まで発揮し、無事に挑戦者全員が完泳することが出来ました。

往路のバスの中では「大遠泳なんて余裕だよ。」「今日泳げるよ。」という言葉が聞こえていました。しかし完泳後に見せた1班の子供たちの表情は、心からの喜び、5・6班の子を全力で支え、6年男子という一匹の大きな魚を動かし続けたことへの自信に満ち溢れていました。

生活、水泳でも常に1班であること、常にお手本であることをを求められ続けられました。しおりには「僕らが引っ張るんだ。」「僕たちが安定しないとみんなが困ってしまう。」そんな自覚が言葉となり、書かれるようになりました。先生・OB達の期待に応えた彼らの姿からは、残りの半年、大泉の最上級生として、学校の機関車として引っ張っていかなければないないんだという、強い決意も滲み出ていました。


大遠泳ゴール間近

富浦とは泳ぐことだけを教えるところではない。1班の子供達の心の変化を直に感じ、見つめることで、改めて実感しました。そして我々OBもそんな姿から様々なことを教わりました。今年もまたOBとして参加させて頂いたことを心から感謝したいと思います。

初めて、OBとして参加した富浦臨海生活
63回生 田尻 祐太郎さん

8年ぶりにった富浦は、懐かしさで溢れていました。寮の前の坂、寮の庭、寮の食堂、浜…。自分たちが小学生の頃と何も変わっていませんでした。

当時泳ぐのが大の苦手で、水泳の授業などは大嫌いでした。しかし、唯一好きな泳ぎが平泳ぎでした。そのため、臨海では、5、6年生ともに1班になることができました。

泳ぎの苦手な自分が、1班の練習についていくことは大変でしたが、仲間と支えあったことで、無事に完泳することができました。

今年の5年生では、自分の担当した1班の子が骨折をしていたため、一緒に泳ぐことはできませんでした。しかし、練習のときには1班の近くで声をかけ、中遠泳のときには、泳いでいる列の後ろから、気持ちを一つに見守っていてくれました。

そして、6年生では、自分の担当していた子が、沿岸泳を泳ぐときに、大遠泳を終えたばかりで疲れている6年生男子が、その子のために道を作り、周りから大きな声で励まし続けてくれました。そして、彼は今まで1度も泳いだこともないような距離を、泳ぎ切ったのです。
子供たちが仲間同士支えあった出来事がいくつもあり、自分たちの時も同じ様なことがあったのを思い出し、感動し続けた臨海生活でした。

こういった子供たちのサポートができるOBという立場は大変素晴らしく、できることなら、来年以降も臨海生活に参加し、子供たちとともにたくさんの感動を味わいたいと思います。

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